越前漆器

漆琳堂

彩りの豊かさや、食洗機対応など。

現代の生活に寄り添う漆器づくりを目指して

 

越前漆器の伝統を守りつつ、技術を継承していく丸物塗師屋

越前漆器は、木地師・塗師・蒔絵師などそれぞれの工程を別々の職人が担当して1つの漆器を作りあげる分業制度がある産業です。漆琳堂(しつりんどう)は漆器を艶やかに仕上げる塗師屋(ぬしや)として1793年に創業して以来、お椀などの丸物をメインに作っている工房です。生みだす製品は伝統工芸品としての美しさはもちろん、日々の生活になじむ生活道具としての、機能性も持ち合わせています。伝統を守りながらも、越前漆器の新たな可能性を見出そうという試みを続けている漆琳堂は、漆器の伝統を塗りかえる存在といっても過言ではありません。

常識を覆す挑戦から生まれた食洗機で洗える色彩豊かな漆器

漆琳堂のオリジナルブランドである「RIN&CO.」の越前硬漆シリーズはカラーバリエーションが豊富で、鮮やかかつ優しい色合いが特徴です。通常、伝統的な漆器には黒と赤が用いられる事が多いですが、漆琳堂では10年以上前にカラフルなお椀の製作に、取り組み始めました。ここから、漆琳堂らしいポップで色鮮やかな漆器の歴史が始まります。何色にも及ぶ色展開は、他所では真似できないほど特別な調合がされており、漆琳堂にしか再現できない色を生み出しています。色彩豊かな漆器をお客様に届けるために、多くの色を管理できるのも漆琳堂の強みと言えるでしょう。

また、漆器のお椀にはフタや高台がついており、普段の食卓に並べるには、少し敷居の高いイメージをどうしても抱いてしまいます。そこでフタと高台をつけず、洋食やスイーツを食べる時も気兼ねなく、つかえるデザインにしました。このような工夫を凝らすことで、食の多様化が進む現代に、寄りそう漆器が完成しました。

8代目、内田徹さんが「職人探訪」に込める想い

漆琳堂8代目当主、内田徹さんは自身のブログに職人の技術や仕事に対する熱量を、各工房の職人に取材をして、「職人探訪」を記事にしています。漆器は木地づくりから始まり、下塗り、上塗り、蒔絵と細かく工程が分かれており、分業の仕組みがありますが、漆琳堂の工房がある河和田地区では小さな集落内で、全ての工程が完結します。仕事と町のコミュニティが密接に関係していて、職人同士の信頼関係があるからこそ、美しい商品を生み出せるのです。

塗師屋(ぬしや)として様々な職人と協力しものづくりをする漆琳堂が、積極的に分業の仕組みを発信する事で、職人の技術や、1つの漆器が完成するまでのストーリーをお客さんは理解して、商品を手にする事ができるのです。

1500年折り重ねてきた伝統の中で、現代の生活に寄り添い進化を続ける越前漆器。伝統と格式を守りながら、産地を想い行動を続ける漆琳堂は、塗師屋としてこれからも新たな挑戦を続けていきます。

会社情報・お問い合わせ先

  • 企業名:漆琳堂
  • 住所:〒916-1221 福井県鯖江市西袋町701
  • 電話番号:(0778)65-0630
  • メールアドレス:info@shitsurindo.com
  • サイトURL:https://shitsurindo.com/
  • 創業:寛政5年(1793年)

文:荒井佑太

 

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