越前箪笥

ファニチャーホリック

〜越前箪笥(たんす)の技術を活かした、永く使える木工家具〜

越前箪笥の技術をベースにオーダーメイド家具を手がけるファニチャーホリック

ファニチャーホリックは、越前箪笥の技術をベースにオーダーメイド家具の製作や家具のリメイクを行う会社です。創業は2012年と新しい会社ですが、1300年の歴史を誇る越前箪笥の技術を継承し、伝統と時代を融合したものづくりを行っています。

越前箪笥は、

  • 木地を作る指物(さしもの)技術
  • 金具を作る技術
  • 漆を塗る技術

といった3つの技術で作られています。嫁入り道具として扱われていた越前箪笥は、永く使い続けられることを前提に作られてきました。だからこそ、強度の高い指物技法や素材を固く丈夫にする漆塗りは、今の時代にも通用する立派な技術です。

ファニチャーホリックでは越前箪笥の技術を使って、ユニークで永く大切に使える木のものづくりを行っています。越前箪笥やちゃぶ台、学習机などのオーダーメイド家具の制作はもちろん、箪笥型キャリーケースや越前箪笥模様のワインケースなどの奇をてらったものづくりにも挑戦する会社です。

また、化粧合板を使った住宅や店舗の造作家具も得意としており、最近では設計士や工務店からの依頼も増えているんだそう。無垢材、建材問わず家具を作ることができるのもファニチャーホリックの魅力の一つです。

さらにファニチャーホリックは、新品の家具の制作だけでなく、既存の家具のリメイクも手がけています。例えば、家の建て替えに伴って不要になった欄間(らんま)を座卓やテレビ台にリメイクしたり、使わなくなった箪笥の引き出しを抜いて本棚にしたり、建具を照明にしたり。ファニチャーホリックの手にかかれば、時代や生活に合わなくなった古い家具も、新しい用途のアイテムとして生まれ変わります。思い入れのある家具や建具を残したいというリメイクの依頼も、多いそうです。

ファニチャーホリックでは、職人が思いを込めて作った木工家具や建具を、なるべくお金をかけずにリメイク。「職人の手によって丈夫に作られたものは、メンテナンスをすることで永く大切に使うことができるんです」と代表の山口さんが教えてくれました。思いを込めて丈夫に作られた家具は、リメイクすることで新品同様に生まれ変わるのだそう。

反対に、安く作られた家具は耐久性がなくリメイクが難しい。安く作られた製品は買った時がピークでどんどん劣化し、リメイクをすることは少なく捨てられてしまいます。ファニチャーホリックは、使わなくなった家具を処分するのではなく「活かす」ことを常に考えています。使い続けると味が出て価値が上がるものづくりを通し、「消費」に抗いたい。使い続けることで家具が育っていく。そんなものづくりを目指していると、山口さんは熱く語ってくれました。

幅広いアイデアと技術力で、永く大切に使えるオーダーメイド家具作り

オーダーメイド家具を手がけるファニチャーホリックの強みは4つあります。

①世代を超えて、永く使える家具作り
ファニチャーホリックでは、用途が変わっても永く使える家具作りを提案しています。例えば、学習机をまず大人サイズで作り、お子さんが生まれたら脚をカットして子ども用の大きさに。用途ごとに家具を買い換えるのではなく、簡単なリメイクで一つの家具を世代を超えて大切に使い続けることができます。

②色味や用途に合わせて、多様な木材をご提案

ファニチャーホリックでは、山口さん自ら木の仕入れを行っています。材料には50〜100年かけて成長した木を使用し、端材も積み木やワークショップの材料として、余すことなく大切に使い切ります。山口さんの木への深い愛情を感じられますね。

現在は10種類以上の木を仕入れており、イメージする色味に合わせて木材を提案しています。代表的な木はナラ、クリ、チェリー、ウォールナットなど。仕上げはウレタン、漆、オイルの中から用途に合わせたものを選びます。

③建設機械メーカーで培った知見で「こわれない家具作り」
山口さんは前職の建設機械メーカーで、強度の計算や図面作成といった実務経験を積んできました。そのため、経験に基づいた、機械的な構造への知見をもっています。伝統的な越前箪笥の技法と、機械的な構造を組み合わせることで、見た目や構造は極力シンプルに、丈夫さは最大限に。「こわれない家具作り」を実現します。

④無垢材から化粧合板まで、幅広い材料と技術でオーダーにお応え
無垢材から化粧合板まで幅広い材料を取り扱っているファニチャーホリック。無垢材と化粧合板にはそれぞれメリットとデメリットがあり、加工の専門性も異なります。例えば、無垢材は強度や質感が優れている一方で、乾燥によって反りやひび割れが起きやすいのが特徴です。一方の化粧合板は、無垢材より強度が劣りますが、反りや割れが少なく、木目が整ったものが多いです。ファニチャーホリックでは、家具や什器の用途に合わせて最適な材料を提案し、一人ひとりのオーダーにお応えします。


作り手が生き残ることで、越前箪笥の姿や技術を受け継ぎたい


山口さんは大学進学を機に福井を離れましたが、29歳の時に家具職人になりたいと福井にUターン。もともと越前箪笥の職人になる予定ではありませんでした。しかし、弟子入りした親方の姿を見るうちに、越前箪笥をかっこいいと思うように。中でも、金具の造形が気に入り、その良さを活かして売れるようにしたいと感じたそうです。

その後、2012年にファニチャーホリックを設立し、2016年には「LEXUS NEW TAKUMI PROJECT2016」というプロジェクトに福井県代表として出場。1年かけてデザイナー達と商品開発をするなかで、生活にフィットするベストなものづくりを学びました。その時に、ファニチャーホリックの看板商品ともいえる箪笥型キャリーケースの原型が誕生したそうです。

山口さんは、次のように語ってくれました。
越前箪笥の姿や技術を受け継ぐのも大切だし、時代にあった使い勝手のいい道具を作ることも大切です。「作り手が生き残ること」で、越前箪笥の技術を受け継いでいきたいと思っています。これからも意外性のあるものを創造していきたいです。

現在は、海外の販路も視野に入れてものづくりを行っているそう。台湾での展示会も控えており、越前箪笥の技術が世界に羽ばたく一歩になりそうです。

▼会社情報・お問い合わせ先
・企業名:ファニチャーホリック
・住所:〒915-0885 福井県越前市大虫町6-2
・電話番号:0778-43-5375
・メールアドレス:mail@furnitureholic.com
・サイトURL:https://furnitureholic.com/chabudai/
・従業員数:3名
・設立:2012年
・問い合わせ方法:電話もしくはメール

(文:古川 朋香)

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