越前漆器

錦古里漆器店

錦古里漆器店

〜いくつになっても試行錯誤をやめない、遊び心をもった角物の塗り職人〜

重箱や角盆など角物に特化した漆塗りを、直に見て触れられる工房

錦古里漆器店

錦古里漆器店は、越前漆器の産地である鯖江市河和田地区で重箱や角盆などの角物の漆塗りをしている工房です。

大正時代末期に創業した錦古里漆器店は、現代表である錦古里正孝さんの祖父が始めました。冠婚葬祭で使うようなお膳やお盆が越前漆器の生産の中心だった時代。錦古里漆器店では、旅館や飲食店へ営業に行って漆器をつくっていました。

今では、長男の錦古里正孝さんと次男の正二さん、兄弟二人で漆塗りをしています。鰻屋や蕎麦屋などで扱う重箱や角盆など、角物漆器の塗りの工程を行っています。正二さんが下地の担当。木地に直接、漆を塗り重ねて器の強度を高めます。その後、正孝さんが上塗りを担当。上塗りとは、中塗りの上に塗る仕上げであり、器の見た目に関わる工程です。二人で協力しながら、業務用の角物漆器を作り上げています。

しかも錦古里漆器店は、ものづくりをしている工房と作った商品を購入できる店舗が一体化している、産地でも珍しい漆器屋さん。一般の方がいつ来ても、目の前で職人の技術に触れあうことができます。さらに、2019年からは塗り体験ができるワークショップもはじめました。越前漆器の産地で、産業観光にも力を入れている工房です。

漆が好きだから、試行錯誤を続ける塗師

錦古里漆器店

厚塗りで、丁寧に仕事をすると定評のある錦古里漆器店。お客様の要望に合わせて、漆を塗り上げます。

職人の錦古里正孝さんは漆好き。塗師として漆と試行錯誤し続けてきました。木製の木地だけでなく、建材や陶器などいろいろなものにも漆を塗る挑戦をしています。中でも、陶器への漆塗りは錦古里さんの可能性が広がった挑戦でした。きっかけは、フリーマーケットで陶器のコーヒーカップと出会ったこと。試してみたくなり、陶器のコーヒーカップに漆を塗ってみました。あれこれと試してみるうちに、外側だけ漆を塗った方が使いやすかったり、内側は釉薬をかけたほうがよかったり、といったことに気がつきました。

結果的に、漆塗りの陶器のカップを店頭で販売することになります。ただ漆を塗るだけでなく、扮や青貝を蒔いてみるなどのアレンジを加えることで錦古里漆器店のオリジナル商品になりました。すでに行っていた漆の塗り体験の素材としても器が使えることも大きな収穫でした。

漆が好きだからこそ、錦古里さんは漆塗りを試行錯誤しています。「やってみるとどうなるだろう」といワクワク感や遊び心があるからこそ、これからも漆を塗り続けると語ってくれました。

錦古里漆器店と産地のエピソード

錦古里漆器店

錦古里漆器店では産業観光にも力を入れていきたい、と言います。

今は、工房と店舗が一体化している錦古里漆器店。業務用漆器の製造がメインだった工房でしたが、新たに販売という視点が加わりました。店舗が併設することで、錦古里漆器店ではどんな物が売れているのかを直に感じることができます。お客さんが、職人と会話をして商品を手に取る。料理屋に向けた業務用漆器だけを作ってきた今までは実感することが少なかったことです。

そこでは、錦古里さんが驚いたことがあります。昔は真塗りで木目の見えない塗りが人気でした。しかし、最近のお客様が手に取る商品は、木目が透けて見えていたり、木地の模様を活かしていたりと、ひとつひとつ表情が違って見えるような器ばかりです。昔とは違うものが好まれる、時代が変わったのだと改めて実感するきっかけになりました。

漆が好きで、いろんなものに塗って試している錦古里さんは、塗り上がった商品がどうなるかの楽しみもあれば、売れるかどうかまでも楽しんでいるそうです。

越前漆器の産地がこれから注目されるためにも、産業観光は注目したい分野です。産地に来てくれたひとりひとりと会話をして、漆器のことを知ってもらえることが嬉しくて楽しいことだ、と錦古里さん自身も感じているそうです。

▼会社情報・お問い合わせ先

  • 企業名:錦古里漆器店(キンコリシッキテン)
  • 住所:〒916-1222 福井県鯖江市河和田町19-8
  • 電話番号:0778-65-2233
  • サイトURL:https://touristore.jp/
  • メールアドレス:kinkorishikki@gmail.com

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